わたしが共にいる─ヤコブの見た階段(創世記28:10-22)
遠い昔のお話です。あるところにエサウさんとヤコブさんという兄弟がいました。ふたりは双子でした。エサウさんがお兄さん、ヤコブさんが弟です。あるとき、ふたりは大げんかしました。お兄さんのエサウはものすごく怒りました。あまりにその怒り方がひどくて、エサウは弟のヤコブを殴り倒してしまいそうでした。心配したお母さんがヤコブに言いました。
「ヤコブや、エサウ兄さんの怒りがとけるまで、しばらく伯父さんの家に行っておいで」
ヤコブはお母さんからお弁当と水筒をもらって、伯父さんのところにたったひとりで行くことになりました。伯父さんの家は北の国で、とても遠くて歩いて何日も何日もかかります。
ヤコブがひとりずっと遠い道を歩いていくうちに、日が暮れて夜になりました。あたりはもう真っ暗で、家もなく、人もだれもいません。
ヤコブはとても寂しくてこわくなりました。それで「神さま、どうか守ってください。 伯父さんの家に無事に着くことができるようにしてください。今夜わたしを守ってください」と一生懸命祈ってやすみました。枕がないので、そのへんにあった石を枕にして眠りました。
するとヤコブさんは、眠っているうちに夢を見ました。すぐそばに階段があります。とても高くてその階段は天まで、神さまのところまでつながっているようです。見ていると天使がその階段を上ったり下りたりしています。すると神さまの声が聞こえてきました。
「ヤコブよ、恐れるな、わたしがあなたと共にいる。心配するな。いつか必ず、あなたをここまで連れて帰ってあげよう。けっしてあなたを見捨てたりしない。わたしが守っている。」
ヤコブは目を覚まして言いました。
「神さまがここにおられるのに、ぼくはそれを知らなかった。ここは神さまの家だ」
ヤコブは起きて、枕にしていた石を立てて、神さまを礼拝しました。
そして旅を続けて、とうとう無事に伯父さんの家に着きました。
この幼稚園にも階段がありますね。表の門からずっと上がってきて、階段は礼拝堂の中の真ん中を通って、前の十字架のところまで続いているようです。ヤコブが見た階段がここに続いているのかもしれません。
みんなの上ったり下りたりする階段を、目にはみえないけれど、天使がみんなと一緒に上ったり下りたりしているかもしれません。この階段も神さまのところにつながっています。
この礼拝堂も神さまの家です。
ヤコブを守ってくださった神さまが一緒にいて、皆のことも守ってくださいますように。